「健康な歯を抜歯する」と聞いて、矯正治療を断念した方もいらっしゃると思います。当院では『お口全体のことを長期的に考え、生涯に少しでも多くの健康な歯を残す』ことを第一に考え、またできうる限り抜かない治療を目指して矯正治療を行っております。
ある程度までは、奥歯を後ろに移動したり、横に広げたり、前歯を前に傾斜させたりすることで、隙間を確保して歯を抜かない矯正治療が可能です。また、成長期であれば、あごの成長を利用して非抜歯で治療を終える可能性を広げることもできます。
ただ、全ての患者さまがそれで解決できるわけではありません。成人の方はあごも歯の並ぶ土台も成長することがないため、健康な歯並びを作るためのスペースを確保することが困難な場合があります。特に歯のでこぼこが大きい場合や、著しい出っ歯を改善したい場合、口元の突出感を改善したい場合などは、非抜歯治療では改善の度合いに限りがあります。
歯並びは「歯の大きさ」と「歯の並ぶ土台の大きさ」のバランスで成り立っています。それは個人個人で異なります。すべての歯を無理矢理並べることも可能ですが、矯正治療とは、ただ歯を並べておしまいではありません。一見整ったように見えても、バランスの良い咬み合わせ、本質的に健康なお口になったとは限らないのです。その後何十年と生活をしていくのですから、歯をしっかり並べて、その後も「しっかりとバランス良くお口が機能できること」が健康にとっては重要です。そのために抜歯が必要な場合があります。
しかしながら、患者さまによっては抜歯自体に抵抗があるということもよくわかります。当院では、患者さまのケースでの抜歯と非抜歯のメリット・デメリットをよくお話しして、患者さま自身が納得いただいた上で治療方針を決定していきます。